鉄人レースに出場してみた
私は、何となくジムの会員になり、少しは走れるからという理由でジョギングクラブにも入っております。日常的に運動はそれなりにしているものの、アスリートというレベルではありません。ところが、その何となく入会したジョギングクラブには、アマチュアの世界大会に出場するような選手まで在籍していました。実は、ただのジョギングクラブではなく、かなり本格的なトライアスロンクラブだったのです。そんなメンバーたちに勧められ、正確にはそそのかされ、私もトライアスロンに参加することになりました。まさに「悪魔のささやき」です。

出場したのは、IRONMAN 70.3 Rockford。1.9キロを泳ぎ、約90キロを自転車で走り、最後に21キロをランニングするレースです。IRONMANは、世界各地で大会を開催しているトライアスロン界の大手ブランドです。会場は、シカゴから車で1時間強の場所にあるイリノイ州ロックフォード。レース前日に到着すると、街全体がすでにIRONMAN一色になっていました。この国は、イベントの盛り上げ方が本当に上手です。数百人規模のボランティアが動員され、街のあちこちで準備や案内を行い、レース前日から大会の雰囲気を盛り上げていました。競技が始まる前から、私も気分だけは一流選手でした。
レース当日は、朝5時前に起床しました。クラブのメンバーから教わった「レース前に食べるべきもの」を食べ、形だけの「必要なストレッチ」を済ませて会場へ向かいました。

激流のロック川を1.9キロスイム
最初の種目はスイムです。ロック川は、実際に入ってみなければ分からないですが、想像以上の流れがありました。子どもの頃に遊んだ流れるプールのようで、流れに乗ると、あっという間に泳ぎ終わってしまいます。ただし、私のように泳ぎの遅い選手は、後方からのスタートになります。後方には、泳ぎが苦手で途中休憩をしながら水面に浮かんでいる人も多くいます。その人たちを避けながら泳ぐには、ある程度の技術が必要です。泳ぎながら、小学校の運動会の障害物レースを思い出しておりました。
トウモロコシ畑の中をひたすら自転車
次は自転車です。コースの両側には、トウモロコシ畑が地平線の先まで広がっています。景色だけを見れば、のどかで気持ちのよい田園風景です。しかし、選手にとっては、ただひたすらペダルをこぎ続ける時間でした。イリノイ州は「プレーリー・ステート」と呼ばれているので、平坦な道を想像していました。ところが、実際にはアップダウンがかなり激しく、想像以上に厳しいコースでした。「平原だから楽だろう」と考えていた自分を、何度も反省することになります。トウモロコシ畑は美しいのですが、疲れた選手にとっては、どこまで行っても同じ景色が続くという、なかなか手ごわい存在です。
自転車の後に21キロのラン
ようやく自転車を終えたと思ったら、そこから21キロのランが始まります。私が自転車で戻ってきた時には、同じクラブの強者たちは、すでにランまで終えてゴールしていました。私のようなおじさんだけが、ひとり取り残されたような状態です。少し恥ずかしい気持ちにもなりましたが、「この恥ずかしさが成長につながるのだ」と、無理やり前向きに考えてランへ向かいました。走り始める前は、「2時間もあれば走れるだろう」と思っていました。しかし、自転車の後のランは、想像をはるかに超える苦しさでした。本当に足が前に出ません。走るというより、足を一歩ずつ置いていく作業です。こんな状態で走っている時、ほかの選手はいったい何を考えているのだろうと思いました。私の場合は、ただひたすら「参加しなければよかった」と後悔していました。
ランコースは住宅地を通りますが、住民の皆さんは、見ず知らずの選手たちを一生懸命応援してくれます。30度を超える炎天下だったため、子どもたちはあちこちで水鉄砲を持ち、選手たちに水をかけてくれました。本当にありがたい声援です。
ただ、その時の私の心理状態では、感謝よりも後悔のほうが少し勝っていました。それでも、沿道の声援に助けられながら、何とかゴール出来ました。
メダルの代わりにVIP待遇
最後に、少し蛇足です。
私のような、制限時間ぎりぎりで完走した選手には、今回の参加賞として渡されるメダルが用意されていませんでした。どうやら運営側のミスでメダルが足りなかったようです。その代わり、次回のレースに参加する際には、VIP待遇を受けられるという特典をいただきました。もちろん、次のレースに出れば、今回以上に後悔することは分かっています。それでも、実際にやってみると、何とかなるものです。というわけで、来年は距離が倍になるIronmanフルディスタンスに、VIP待遇で挑戦してみようかと思っています。また来年の10月頃、このブログでフルディスタンスの報告ができればと思います。