京都コラム
2026/01/23
格子のはなし

古都の風情を演出している町家の格子。その繊細な造形は日本の町の独自のものですね。この格子は建物の意匠としてではなく、むしろ機能美の造形です。都市の機能が密集している京都には欠かせない役割が格子にはあるのです。それは、風の流れ、自然光の取り込み、防犯などの機能を果たし、それらが規則的に並び町家の美観を形成しています。
通風
盆地ならではの夏の高温多湿に、ウナギの寝床と呼ばれる縦長の町家住宅は、決して室内環境が良いとは言えません。そこで先人は中庭を設え空気の煙突効果を利用し室内の気流動をつくり快適な環境を仕掛けたのです。そこで欠かせないのが、道路側の格子でした。格子は外部の空気を均等に取り込んでくれます。
採光
格子にある切子の数によって、採光量を調整しています。商売によっては自然光を嫌うものもあり、その場合は格子の間隔を狭めたりするなど採光率を低くします。商売によって格子デザインが異なる理由はそこにあります。
格子のデザインで商売がわかる?
① 糸屋格子(呉服店・糸屋など繊維系)
太めの格子と上部が短い細めの格子により組まれる。上部の隙間から採光し、生地の色合いなどを確認するのに適した格子。
② 炭屋格子(炭屋)
炭の粉の飛散を防ぐために、格子の隙間を狭くしている。
③ ④酒屋・米屋格子(酒・米・味噌屋など)
荷物の搬入が頻繁に行われる商売の為、樽や俵の衝撃に耐えられる頑強な格子。

格子の造形は次世代に残せるのか
機能美を見せる格子ですが、その造作職人も年々と減少し古来の技術の継承が危ぶまれています。また、糸屋や炭屋、酒屋、米屋も町家の中で見ることもなくなり、町の機能も変容しています。さらに消防法の規制によって、無垢の木材の使用が限定されるなど、存続に問題山積です。