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京都コラム 2025/05/29

京都の町と文化。そのコンテンツと集客力について考える

最近よくニュースで見かけますが、訪日外国人数が過去最高の様です。
2024年の訪日外国人数を統計で見ると3687万人。その中で京都への外国人観光者の正確な統計はありませんが、京都の宿泊施設の状況を見ると、年間1152万人の宿泊客数の内、ほぼ半数にあたる536万人が外国人の宿泊だったようです。

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更に京都に訪れる外国人の国別内訳をみると、ヨーロッパ・北米からの来訪者が40%近くにもなるとの事でした。しかも、驚くことにその中の27%が2回以上のリピーターである事です。

訪日渡航者数増加の要因


訪日外国人の増加は、当然ながら為替・円安が追い風となっている事は容易に想像できますが、やはり大きな要因として考えられるのは令和5年に閣議決定された「観光立国推進基本計画」の運用の成果ではないでしょうか。そこで掲げられる基本方針として「地域の観光コンテンツの整備」です。コンテンツ化として挙げられるのは、自然の景観と日本独自の文化。文化には、街並み、建築、芸術、食、生産品、アニメなど。
それぞれが魅力あるコンテンツとなります。

プロモーションと情報発信


それらの豊富にある魅力的なコンテンツを、「観光立国推進基本計画」では、戦略的にプロモーションを行い、あらゆるチャンネルを利用し、情報発信を積極的に行おうとしています。
実際に、政府(観光局)は広告会社をはじめ航空会社や旅行会社と共同でWebサイトを利用した情報発信スキームを構築しています。広告会社のマーケティングをベースにし、効果的な情報発信を行っているわけです。
この様に日本の訪日外国人数の増加は、為替の影響だけではなく戦略的に仕組まれた能動的な活動の結果なのだとわかります。

トランプと映画コンテンツ


話は変わりますが、最近、米国では強いアメリカの復興を念頭にトランプが大統領として返り咲きました。復興の一つの施策に衰退しつつあるアメリカ映画界(ハリウッド)の強化を掲げています。トランプは映画をエンターテイメントとしてではなく、アメリカの重要なコンテンツとして捉え、アメリカの強さを発信するプロパガンダ的な要素に注目しているのでしょう。
実際のところ、ハリウッドで制作された映画は、近年では分業化され、世界中の優秀なクリエーターやデザイナーが制作し、その制作過程はボーダーレスでグローバル化しており、「メードインUSA」の概念が問われている様です。

リアルとバーチャル


ともかくも、コンテンツとしての映画の魅力は表現の方法が変わっても普遍なのでしょう。
話を本筋に戻しますが、ヨーロッパ・北米の訪日者に、日本を知るきっかけとなったのは?との問いに、日本の誇る「アニメ文化」の影響がトップで、今の世代が、媒体を通してバーチャルなものに大きく影響されている事がわかります。日本の人気アニメには、日本の情景や文化など、上手に
表現されています。京都や地方の歴史ある街が舞台になることも多いです。ただ、アニメは仮想空間でありバーチャルなので、日本に引き寄せるその原動力は、アニメに表現される異文化の精神性や美的感覚が新鮮で、こころ惹かれるのでしょう。その意味でいえば、京都の町には、それらをリアルに感じられる場所が多く残されています。

しかしながら、京都に訪れ外国の方で溢れている町をみてどの様に感じるのでしょうか。これからの時代は、町のスケールに釣り合う集客マネージメントが必要となるかもしれませんね。
京都は今日も外国人でいっぱいです。