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シカゴ支社コラム 2024/12/28

周回遅れのESG

2017年頃だったかと思いますがアメリカで社員を募集する際に、差別などの問題と絡むことがあるので、面接で年齢や容姿に関わることには絶対に触れないようにと指導を受けたことがあります。

いわゆるESG教育の一環で行われた講義でした。意識の低い私は、適切に言葉を選んでシチュエーションに合わせて会話が出来る自信が全くありませんでした。

先日ニュースで、飛行中の飛行機から降りたいからドアを開けろと暴れだし、客室乗務員の女性にケガを負わせた男性が逮捕されたという事件が報道されておりました。驚くことにケガをされた客室乗務員の年齢は79歳だったようです。

アメリカの労働法に詳しいわけではないですが、一部の職業を除いてアメリカでは定年を設けることは違法のようです。リタイアする年齢は自分で決めるという何ともアメリカらしく羨ましい側面でもございますが、安全に関わる職務などでは年齢での制限も必要なのではと私個人としては思います。

客室乗務員はサービス係としての役割と、いざという時の安全管理という2つの業務がございます。ESGという言葉も日本でも聞かれ久しいですが、体裁を意識して根本の安全管理を怠れば本末転倒です。アメリカではESG投資など徐々に人気が落ちている感がございますが、日本の周回遅れでの追走は残念に見えてたまりません。