ソウルフード
個人的にどうしても馴染めない和製英語がいくつかありますが、その一つがソウルフードです。ソウルフードとはアフリカ系アメリカ人が慣れ親しんだ食べ物のことで、ソウルミュージックと同じ様に彼らの伝統料理に名付けられたものです。
たこ焼きは大阪人のソウルフードなどというのは、言葉の使い方にどうしても違和感を覚えます。我々がビジネスをしているシカゴ南部には多くのアフリカ系の方が住んでおり、ソウルフードレストランがたくさんあります。ソウルフードにはアフリカ系の方々がまだ奴隷だったころに食されていた物も含みますので、内臓料理や豚足など、当時の白人達が廃棄していた食材を利用した料理も数多くあります。とはいえ、そのような食材は調理に手間が掛かるためか、提供しているレストランは少ないです。
先日ソウルフードで有名なCHEF DADDY’Sにて、もつ煮込み料理のChitterlings、マカロニチーズ、コーンブレッドを食してまいりました。Chitterlingsは日本のもつ煮込みと比べると若干臭みは強いですが、ホルモン系の料理が好物の私にとっては美味でした。どのような味なのか食レポしたいところですが、私にはそれが出来る語彙力がありません。この料理はモツのみで他の食材は入っていないのも特徴です。日本のモツ煮込みは根菜も入っていますが、なぜ根菜にモツの臭みが転移しないのかという疑問が頭を巡りました
コロンブスの時代に、ヨーロッパの小麦と新大陸のトウモロコシの出会いが人間の食生活に革命をもたらしたなどと評する方もいますが、このコーンブレッドはまさに小麦とトウモロコシの奇跡の出会いの産物です。写真からも察することが出来ると思いますが、パサパサ感は強いです。以前日本でコーンブレッドを食べたことがありますが、日本のはしっとりと仕上げていました。とはいえ、しっとりした上品な仕上がりだとコーンブレッドではないような気もします。このパサパサ感こそがコーンブレッドだと思うのは私だけでしょうか。
先日ネットフリックスで奴隷の方々の食生活がどのように今日のアメリカの食生活に影響を与えたかを描写したHigh on the Hogというドキュメンタリードラマを見ました。余った食材から色々な料理を生み出す当時の奴隷の方々のエネルギーには敬意を感じずにはいられませんでした。また、ブラジルの国民的料理であるフェイジョアーダもブラジルの奴隷の方々が残り物を駆使して作った料理が起源だと言われています。現代のアメリカの食はその当時の奴隷たちの創意工夫が多く影響を与えているようですが、このChitterlingのように食す方が減っている食べ物もたくさんあるようです。色々な食事が失われていくことは仕方ないかもしれませんが、何とかこのような伝統は守っていってほしいとも思います。とはいえ、このChitterling一皿22ドル(3000円以上)では消えていくのも致し方ないのかもしれません。