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シカゴ支社コラム 2024/07/18

移民問題

テキサスから大量の移民が入国して、全米各地へバスで送られているというニュースをご覧になった方も多いかと思います。日本のニュースで、彼らの終着地として一番取り上げられているのはニューヨークではないでしょうか。

こちらの報道では、シカゴも頻繁に取り上げられております。実際彼らがシカゴの人々の日常に直接悪影響を及ぼす可能性は短期的には低いと思われます。民主党が強く移民に寛大なシカゴの人達は、基本移民流入に反対の声を上げることはしませんし、反対してはいけないような空気感があります。移民反対意見は、どうしても人種差別問題とリンクしてしまうことがその空気感の原因ではないでしょうか。しかし、さすがのシカゴでもここの所その空気が変わり始めています。シカゴ市議会の民主党議員達も、民主党の現市長に対して移民反対の態度を明確にしました。理由はギャング達が移民をギャングメンバーにスカウトしているからだそうです。

我々がビジネスをしているシカゴ南部では、廃校を移民のシェルターとして利用しようとシカゴ市が提案したところ、地域の住人が反対運動を始めました。彼らの言い分は、廃校以降、コミュニティーセンターとしての利用を長年要求してきたが、なぜ移民シェルターにするのかといった内容です。また、ニュースでは移民の方の食費に、既にシカゴ市内だけで30億円以上の予算が使われていることなどが報道されています。シカゴの人々の本音は、移民を排除したいわけではないが、自分達の日常が脅かされるのであれば、移民に反対せざるを得ないといった感じではないでしょうか。

先日岸田首相が、日本には差別があると発言したようです。罪のない人がわざわざ“自分は罪人です”と言っているようなもので、日本は差別のある国だという認定を世界的に受けてしまう愚行でした。岸田首相の原稿を書いた人は恐らく、外国の人が日本で暮らしやすいようにすることと、人種差別問題をごっちゃ混ぜにしているのでしょう。移民に厳しい態度を示していたトランプ元大統領も“人種差別主義者”のレッテルを貼られていました。移民に厳しい=人種差別=悪い人の方程式で評論するスタイルもアメリカでは最近通用しなくなってきました。彼らはただ日常を守りたいだけでも、移民反対と言うと人種差別主義者に見られてしまうというジレンマを抱えていたように見えますが、移民問題と人種差別の問題がここのところで切り離され始めたような印象を受けます。岸田首相の発言には、“外国人が暮らしやすいように、日本人が合わせるべき”といった思想が見え隠れします。“郷に入れては郷に従って、日本の日常を尊重し、言語取得も努力する”といった気概を持つべしと発信しするのが自然だったかと思います。移民問題と人種差別問題をしっかり分けて、議論していただきたいものです。