アメリカも米は安くない②
小泉進次郎氏が農水大臣になったという悲報を耳にしました。彼の言動をしっかり追っているわけではないので、このコラムに憶測も入ることはご了承いただきたいと思いますが、彼は減反政策に問題があった旨を発言したようです。
減反政策が良くなかったという見解は間違いではないかと思いますが、彼は自由化すれば何でも良くなるという安易な新自由主義的な思想の持主です。この30年新自由主義的な経済政策を推し進めすぎた反省から世界はそれを逆に戻そうというトレンドな訳ですが、彼は今でも新自由主義を追いかけているように見受けられます。恐らく、アメリカのシンクタンクなどに洗脳されて、アメリカに都合の良い形での農政改革が日本に取っても良いことだと本気で信じているのだと思われます。
減反政策が他国の政策と比べて抱える欠陥は、国民が主食を高い値段で買わされていることです。供給の制限によって、高値を維持し農家の所得を補償するという形式なので、国民の主食への負担が重くなります。他国は、最大限生産して安い穀物を国民へ供給し、農家へは直接所得補償をしています。日本も最大限生産して、農家へ所得補償し、余った分を輸出にでもなんでも回せば良いかと思います。日本の農家は国家に守られている印象を持っている方も多いかと思いますが、諸外国に比べたら日本は全く守られていません。それを新自由思想の大臣がイニシアティブを握れば、農家への補償、農業への補助は益々削られ、日本の農業の先行きは真っ暗になります。食料の不安定化、エネルギーの不安定化は紛争の原因になりやすく、国防的な視点も含めての農業政策が強く求められる段階かと思います。一度失うと簡単に戻せないのが農業です。新自由主義者の出番ではありません。
2000年代初頭に大変盛り上がった郵政民営化ワンイシュー選挙がありましたが、結局郵政民営化の何が良かったのか理解している人はいないのではないでしょうか。進次郎氏の場合、農協解体ワンイシュー選挙でも夢見そうで非常に恐ろしいです。農協が良い機関とは到底思えませんが、農協解体は郵政民営化と同様に外資を肥やさせることにしかならず、望むような効果はないと思われます。私は以前ドミニカで膨大な荒れ果てた米用の田んぼを見たことがあって、農業はあっさり壊滅しうる産業だと認識しております。杞憂であることを望みますが、日本は今農業の危機であり、米農家がいなくなる可能性もあるレベルかと思います。安くて味も良い米が大量にアメリカから入ればドミニカの二の舞になる可能性が本当にあると思います。幸い自分の知る限りではアメリカの美味しいお米は価格が安くないので、日本の米農業はまだ首の皮一枚つながっている状態だと信じております。