あれがあだたらやま、あの光るのがあぶくまがわ・・・
タイトルの冒頭から始まるこの詩
ご存知の方も多いのではないでしょうか
高村光太郎が福島の自然と
妻・智恵子への思いを歌った詩です。
高校の教科書で見た記憶のある方も
いるかもしれません。
樹下(じゅか)の二人
あれが阿多多羅山(あたたらやま)
あの光るのが阿武隈川(あぶくまがわ)
こうやって言葉すくなに坐っていると、
うっとりねむるような頭の中に、
ただ遠い世の松風ばかりが薄みどりに吹き渡ります。
この大きな冬の始めの野山の中に、
あなたと二人静かに燃えて手を組んでいるよろこびを、
下を見ているあの白い雲にかくすのは止しませう。
あれが阿多多羅山、
あの光るのが阿武隈川。
ここはあなたの生れたふるさと、
あの小さな白壁の点々があなたのうちの酒蔵。
それでは足をのびのびと投げ出して、
このがらんと晴れ渡った北国の木の香に満ちた
空気を吸おう。
ここはあなたの生れたふるさと、
この不思議な別箇の肉身を生んだ天地。
まだ松風が吹いています。(一部、省略)
この詩に魅了され
福島の自然を感じてみたいと思い
旅行にでかけたことが数回あります。
春、秋、冬に行ったのですが、
五月でも安達太良山には雪がつもり
松ぼっくりがいっぱい落ちていました。
ゴンドラに乗れれば山頂付近まで
10分で眼下に広がる福島市内を見渡すことができます。
冷たく澄んだ空気と
ほのかに香る松のにおい・・・
ほんの少し高村光太郎が感じた世界を
見れた気がしました。
今、福島は地震と原発で
混乱の只中
原発から30キロ圏内は
避難指示がでています。
また多くの農作物等が出荷停止や
風評被害にさらされています。
あの美しい自然が
朴訥とした人々が
危機に瀕しているのだと
聞くたび、心痛みます。
できればこんな形で
世界に福島の名を知らせたくない。
上記のような
すばらしい詩も生まれる
土地なんだと知ってもらいたい。
今回はそんな思いも込め
ブログを更新します。